仕事の効率を上げるコミュニケーションの技術

仕事の効率を飛躍的に向上させるコミュニケーションスキルに焦点を当てています

思考停止からの脱却: "できない"から"できるかも"へ

新年度が始まり、様々な対話の機会が増えました。その中で、「もったいない」と感じる瞬間がありました。

それは、質問されたり、何かを依頼されたりした時に、「わからない」「できない」とすぐに思ってしまうことです。確かに、すべてを知っているわけではありませんし、できないこともあります。しかし、そのように考えると、思考が停止し、ひらめきが失われてしまいます。

「もしかしたらわかるかも」「できるかも」と前向きに考えるだけで、同じ時間を過ごしても、より価値のあるものになります。もちろん、その後もアイデアが浮かばないこともありますが、考えること自体にコストはかかりませんし、その努力が将来的に前進するきっかけになるかもしれません。



マインドセットで会議の生産性を高める

会議に参加する際、皆さんはどのようなことを考えていますか?

会議のルールはしばしば、「一人一回は発言を」「自分の立場を明確にする」「建設的な反論を」「内職禁止、携帯OFF」といった具体的な行動レベルで定められています。しかし、行動を制限することで場を管理しようとしても、参加者の思いや感情が一致していない場合や、会議に対して否定的な場合、質の高い行動は生まれません。

例えば、会議が始まる際に、「面倒くさい」「今日の決定には何が何でも反対」「どうせ結論は決まっている」といった否定的なマインドセットを持っている場合、その参加者の行動は会議に悪影響を及ぼします。何も行動せず黙っているだけでも、そのような感情は表情や態度に現れ、会議の雰囲気を損ねることになります。

そこで、同僚に対しては、「会議に参加する際は、〇〇という気持ちで臨みませんか」と提案するようにしています。それは、発表者を支援することであったり、見落としがちな点を指摘することであったり、会議の目的や状況に応じて変わります。重要なのは、抽象度を高め、マインドセットに近いことをお願いすることです。そうすることで、良いマインドセットから良い行動が生まれる可能性が大いに高まります。

 

「信念を生かす目標管理」:MBBでチームを動かす

新年度が始まり、多くの職場で目標設定の準備が進んでいることでしょう。従来の目標管理はMBO(Management by Objective、目標管理)として知られ、主に客観的指標に基づいて行われてきました。しかし、MBB(Management by Belief、思いによるマネジメント)という新しいアプローチも注目されています。



MBBは、個人の思いを目標設定に取り入れることで、モチベーションの向上と成長意欲を促します。結果として、高い目標設定が単なる義務ではなく、追い求めるべき理想となります。


目標達成には、個々の信念を理解し共有することが不可欠です。これには、リーダーが自らの信念を明確に伝えることが求められます。徳岡晃一郎氏の「本気の集団をつくる チーム・コーチングの技術」では、効果的な伝え方を以下の5つのステップで紹介しています。

  1. 思いを語る:自身の業務への熱意を表明し、部下の意見を引き出す
  2. 背景を語る:業務が会社目標や組織とどのように関連しているかを透明にする
  3. ストーリーを語る:自身の知識、理論、原体験を基に、実施構想を語る
  4. ポリシーを語る:実行する上でのぶれない方針を示し、意見を求める
  5. しがらみを語る:制約を正面から受け止め、それに対する対策を話し合う。


これらのステップを踏むことで、著者は「思わず共感してしまうしみじみ感」を目標に与えることができると述べています。具体的には、以下のような状態を指します。

  • 理想が高く、相手の心に響く
  • 制約が明確で、その克服方法について真剣に考えている
  • 実行可能なアクションプラン策定が始まっている

このような工夫を凝らすことで、単なる数字の追求から脱却し、目標管理において大きな進歩を遂げることが可能です。

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指示出しの悩みをプチ解消:上司としての一歩目

新年度が来週から始まります。新しい職場で新しい部下に指示を出す立場の方もいるでしょう。

最初は状況が掴めず、「どのような指示や依頼をすればいいのか」と戸惑うこともあるでしょう。「間違った指示を出してしまったらどうしよう」と不安に思うこともあるかもしれません。

しかし、部下から見れば、「指示を出さない上司」は頼りない存在です。たとえ「間違った指示」であっても、「あなたはどう思いますか?」と一言添えるだけで、その指示は「間違わない指示」に変わります。それでも不安な場合は、「今日の昼まで待ってください」と伝えるだけで、それはそれで、立派な指示です。

指示がないと、人によっては大きなイライラやストレスを感じることがあります。上司が「指示を間違えないように」と悩んでいる状況は、部下には関係がなく、伝わりにくいものです。シンプルな指示を出し、様子を見て、フィードバックをするだけでもコミュニケーションになります。

 

声の高さが与える影響とは?トーンを落としてみる

話す雰囲気を変えたい時、簡単な方法があります。それは、声のトーンを少し下げることです。

普段、私たちが話す時の声の高さや抑揚を観察すると、特に男性は単調な傾向があることに気づきます。一方で、明るい声色の人は自然と抑揚がつくものですが、それが続くと、逆に単調に聞こえることもあります。

この単調さを活かすのです。わずかな変化を加えるだけで印象が大きく変わります。「抑揚をつけて」と頼んでもなかなかうまくいきませんが、「トーンを下げて」と頼むと、大半の人がうまくいきます。

耳は声の高さに敏感です。意図的にトーンを少し下げるだけで、印象は大きく変わります。やり過ぎは怖い印象を与えかねませんが、ここぞという真剣な場面で使うと、驚くほど効果的です。



 

相手の面子を守る:自尊心を大切にする会話術

私は人との会話において、相手の自尊心をどれほど大切にしているかを意識しています。会話の内容がどんなに素晴らしくても、一言で相手を傷つけてしまえば、次の心地よい会話は望めなくなります。

このことを忘れないように、D・カーネギーの「人を動かす」にあるパーティーの逸話を心に留めています。公の場で相手が間違いを犯していても、それを指摘して相手の面子を潰すよりは、黙っておく方が賢明だという教訓です。

この逸話に興味がある方は、以下のリンクをご覧ください。
https://note.com/mia_selection0_4/n/n3f19b9250caf

他に、人の自尊心を傷つける事例には、以下のようなものがあります。これらは、客観的にどうこうではなく、感情や気持ちが絡む主観的な問題であるため、注意が必要です。

  • 知らされていなかったと感じる情報があった
  • 自分の意見が十分に聞かれていないと感じた
  • 意思決定において自分の意見が考慮されていないと感じた
  • 大切な約束やルールが守られていないと感じた
  • 正論であると理解しつつも、押し切られたと感じた

相手を尊重することは、自分自身を尊重されるための第一歩です。



 

「無知の姿勢」で聞く:コミュニケーションを変える聴き方

私たちはよく、人の話を聞きながら、話の先を読んだり、次に何を言おうか、どう反応しようかと考えがちです。その結果、相手の話を途中で遮ってしまったり、自分の経験を話したり、反論やアドバイスをしてしまうことがあります。自分の考えに集中しすぎて、相手の大切な話を聞き逃したり、もっと深い思いを理解できたはずなのに、傾聴が中途半端に終わってしまうことがあります。

 

 

私もしばしばこのような状況に陥ります。そこで、自分を傾聴モードに素早く戻すための言葉を探していました。そんな中、「絶妙な聞き方の技術(宇都出雅巳)」という本を読み、「無知の姿勢」という言葉を知りました

人の話を聞く際に、「ああ、それは知っている」「以前にも似た話を聞いた」と思い込むと、先入観や誤解が生じやすくなります。また、つい話に割り込んでしまい、相手への理解が浅くなってしまうことがあります。

相手の話を「知らない」「分からない」という「無知の姿勢」で聴くことで、新鮮な好奇心を持って接することができます。これにより、相手は自分の気持ちを開放的に話しやすくなり、会話の質が向上します。

「絶妙な聞き方の技術(宇都出雅巳)」は、この他にも聴き方の本質を分かりやすく解説しており、コミュニケーションスキルを高めるのに役立つ内容が満載です。

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