職場でのコミュニケーションを軽やかに!

3分で読める記事で職場のコミュニケーションの悩みを軽くします

フロー体験:熟達への情熱を育む

前回のダニエル・ピンク氏の「モチベーション3.0」に関する記事では、自律性と4つのTについて紹介しました。

前回の記事はこちら:
自律性を高める:「モチベーション3.0」の実践 - 職場でのコミュニケーションを軽やかに! (hatenablog.com)

今回は、「マスタリー(熟達)」に焦点を当てます。これは、「何か価値ある技術などを上達させたい欲求」を指します。

学習目標 vs 達成目標

マスタリーを育むには、適切な「学習目標」が必要です。例えば「英語を話せるようになりたい」は学習目標になります。一方で、例えば「英語の試験で90点を取りたい」は「達成目標」と言われ、こういった自分の優秀さを示したい目標は、マスタリーに不向きです。

フロー状態

マスタリーを理解するために、もう一つ重要なキーワードがあります。何か夢中になれるものに取り組んでいるうちに、時間が過ぎ去るのを忘れていたことはないでしょうか。そういった状態を「フロー」と呼び、以下の特徴を持ちます。

  • やらなくてはならないことと、できることが一致している
  • 現在の能力よりも一段高く、努力を要することをしている
  • 活動に打ち込むことで、時間や場所、自分自身の存在すら忘れてしまう

マスタリーの3つの法則

フロー状態をもたらすような仕事の分配や職場環境を整えることで、人はマスタリーを追い求め始めます。ピンク氏は、マスタリーには以下の3つの法則があると述べます。

  • マスタリーのマインドセット(心の持ち方):結果に向かう努力を重視し、多少の困難があっても、独創的な解決策を模索します。
  • 努力の継続:マスタリーへの道は、辛い努力を要求しますが、フロー体験を重ねることで乗り越えます。
  • 飽くなき追及:完全なマスタリー(熟達)とは得難いものですが、その得難さが、かえって魅力を生み出します。

職場でこれらの原則を理解し、適切な学習目標を設定し、今の能力を一段超える業務を割り当てることで、フロー状態を生み出し、マスタリーへの意欲を引き出すことができます。



中間管理職のための職場力向上ガイド

以前からご紹介している「あなたが部下から求められているシリアスな50のこと(濱田 秀彦)」の続きです。

前回までの記事はこちら:

中間管理職のための指南書:部下からの要望を理解する - 職場でのコミュニケーションを軽やかに! (hatenablog.com)

未来を見据えるリーダーシップ:部下が求める仕事力 - 職場でのコミュニケーションを軽やかに! (hatenablog.com)

前回は「仕事力」に焦点を当てましたが、今回は「職場力」について、3つのポイントを選び、詳しく見ていきましょう。

「しつこく報連相を求めないでほしい」

著者は、適度な距離感が部下との関係構築における鍵であると述べています。報連相が全くない状態も問題ですが、過度に求めることは、信頼関係の未成熟さを示しているかもしれません。本書では、報連相に対して感謝や承認の言葉を返し、報連相の報酬性を上げることを推奨しています。

「忙しい理由を知らせてほしい」

部下に報連相を求めるならば、自分自身も透明性を持って情報を共有する必要があります。忙しいことは見た目でわかるかもしれませんが、忙しい理由を共有することで、部下の協力を得やすくなるでしょう。また、部下が「今は不急の相談を控えよう」と考えるきっかけにもなります。

「みんなで決めたことをひっくり返さないでほしい」

時には、職場の運営を部下に任せてみることも大切です。しかし、部下が決めたルールを「これではダメだ」と一方的に変更すると、部下のモチベーションは低下します。もし既に腹案があるなら、最初から自分で決定するか、信頼できる部下と事前に相談した上で、協議の進行役を任せると良いでしょう。

次回は、「育成力」に焦点を当ててみます。



自律性を高める:「モチベーション3.0」の実践

「モチベーション3.0」はダニエル・ピンクによって提唱された、「やる気」にフォーカスを当てた働き方の概念です。国内では2010年に発刊され、既に15年ほどが経過していますが、職場への浸透はまだまだ、という感覚です。

「モチベーション3.0」を支える3つの要素として、自律性・熟達・目的の3つが紹介されています。この記事では自律性に焦点を当てます。ピンク氏は自律性を「4つのT」で展開することを提唱しています。

課題(Task):メンバーの持つ創造性や革新性を信じて、一定の時間を自分たちで選ぶ課題に取り組むことを推奨します。自分が重要だと感じるタスクだからこそ、より創造的に仕事をできます。

時間(Time):仕事の成果を評価するのに、「かけた時間」を無意識に重視してしまっていないでしょうか。その帰結として、「結果を出すこと」が二の次の職場文化になっているのであれば、見直した方が良いです。

手法(Technique):知らずのうちに、マニュアルに沿った業務が当たり前になっていないでしょうか。各個人に仕事の進め方の裁量権は、どの程度あるでしょうか。本の中ではコールセンター業務でさえ、そういった習慣を見直すべきと謡っています。

チーム(Team):この面での自律性が一番進んでいない、と本の中でも指摘がされていますが、革新的な仕事をする場合は、既存の組織から離れて、自分たちで結成したチームの方が、はるかにやりやすいはずです。

自律性について、 モチベーション2.0は、自由にやらせれば怠ける、自律性は責任回避を招く、とする一方で、モチベーション3.0では、人は本来責任を果たすことを“望んでいる”を前提にします。自職場の身の回りで、自律性を高められる側面を探して実行することで、職場にはもっと活気があふれます。

別の機会で熟達と目的についても取り上げます。


モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか | ダニエル・ピンク, 大前 研一 |本 | 通販 | Amazon


時間は貯金できる:日常生活の賢い習慣例

新年度が始まり、多くの方が新しい生活を送っていることでしょう。職場でのTIPSとは異なりますが、私生活での効率化を図ることで、生活のストレスを減らし、より質の高い生活を送ることができます。

例えば、Tシャツなどの上着を洗濯後、干してから畳んで収納している方は多いと思います。しかし、ハンガーラックを使って畳まずに収納すれば、その手間を省くことができます。

「たかが数分の節約」と思われるかもしれませんが、1日に2分を節約したとすると、1年間で合計700分、つまり約9時間の節約になります。9時間あれば、新しい本を読んだり、映画を楽しんだりすることができます。

身の回りで1分や2分を節約できることを見つけてみてください。その小さな時間の積み重ねが、限られた時間をより有効に活用することにつながります。



1分ジャーナリングで変わる日々

1日たった1分で時間との向き合い方が変わる方法は数多くあります。

このブログで何回かに分けて1分間習慣についてご説明します。試してみて、気に入らなければ他の方法を試してみるのも良いでしょう。

例えば、1分間ジャーナリングがあります。できれば大きな文具店に行って、「これなら毎日手に取って良い気分になれる」と感じるノートとペンを選びましょう。私の経験では、お気に入りの品を選ぶことが重要です。お気に入りであれば、習慣はより長続きするでしょう。

そのノートには、1分以内で書ける分量の日々の記録をつけます。習慣化を目指している方は、その記録をつけるのも良いでしょうし、一日にこれだけはやるという目標を書いても良いですし、その時々で感じたことや考えを書いても構いません。

コツは、手書きで無理ない分量を続けることです。1週間経ったら、ざっと見返してみると良いでしょう。自分が思っていたよりも、異なる日々を過ごしているかもしれません。そこでの気づきを、更に記録してみましょう。



会議の目的を見失わないためのシンプルな方法

「今日の会議は延々と前置きが続きそうだな」「目的が不明確で終了時間が見込めないな」と感じる会議があります。そういったときに、冒頭で問いかけるだけで、主催者も参加者も気づきが得られる一言があります。

それは、「この会議が終わったときに、どういった状態になっていれば良いですか?」です。これは当たり前のようでいて、意外と、主催者もこの一言から気づかされることが多いですし、参加者も会議目的を自覚していない場合、場の雰囲気が揃うのです。

私の場合、そこで出てくる答えが満足するものでなくても、一旦受け入れることにしています。例えば、「この件について、参加者の理解が揃ったらいいのですね」と言語化して声に出すことで、主催者側で思考が進み、より会議目的が具体化する場合もあります。

それ以上の目的に発展しない場合であっても、その要件を満たす形で最小最短で会議を進めれば、余った時間やエネルギーを他のことに使えることもあります。また、一旦、共通の会議目的を達成できたという満足感が、次の課題に向かう際に好循環を生むでしょう。

 

未来を見据えるリーダーシップ:部下が求める仕事力

「あなたが部下から求められているシリアスな50のこと(濱田 秀彦)」を以前にご紹介しました。

中間管理職のための指南書:部下からの要望を理解する - 職場でのコミュニケーションを軽やかに! (hatenablog.com)

前回は「人間力」でしたが、今回は「仕事力」について考察します。特に印象に残った3つの項目を選んでみました。

「先見性を持ってほしい」

先を見通すこと、ましてや、将来を当てることは難しいことです。その一方で、多くの人が将来像や予測をせずに物事に取り組む傾向にあります。一定の未来予測に基づいて行動することで、予測が外れた際に早期に気づき、危険に備える行動を取ることが可能になります。

「ビジョンを示してほしい」

この職場で働くことによって得られる成果や、働く人々の成長を描くビジョン(鮮やかな理想イメージ)
は、自身と周囲のモチベーションを変える力を持っています。周囲の意見を取り入れながら、刺激的なビジョンを描ければ、仕事への動機付けが自然と生まれます。ワクワク感のあるビジョンにより、仕事への動機が自走していきます。

「早く判断してほしい」

先見性(将来予測)とビジョン(鮮やかな理想イメージ)を示すことは、自分の思考軸や価値観を明確にし、共有すること
につながります。これにより、部下は自分で判断しやすくなり、あなたが賛同しやすい提案をしてくる可能性が高まります。これが迅速な判断に繋がるのです。


次の機会には、本書から「職場力」を取り上げます。

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