仕事の効率を上げるコミュニケーションの技術

仕事の効率を飛躍的に向上させるコミュニケーションスキルに焦点を当てています

変わらない美徳:同僚を褒める新しい視点

あなたが同僚や部下を褒めたいと思っても、褒めるべき点が見つからないこともあります。特に、「あいつはいつまで経っても変わらない、だから褒めるところがない。」と感じるとき、試してみてほしい方法があります。

それは、「変わらないところを褒める」というものです。



例えば、長年会議で発言をしない人は、「思慮深く、思いやりのある」と考えられるかもしれません。冗長な文章を書く人は、「伝えることに熱心で、サービス精神がある」とも言えます。

人が長期間変わらない理由は様々です。短所と思われることも、他の人からは長所と見られることがあります。「変わらない」ということは、そうすることで本人がメリットを感じていることもあり得ます。

そんなときに、あなたがその人の、変わらない部分を褒めることで、新たな視点を提供でき、相手も喜んでくれるでしょう。

もちろん、この方法は、いつも変わらず挨拶が気持ちいい、こまめにメモを取ってくれる、などの、変わらずポジティブな習慣を褒めることにも使えます。

今回の記事は、「EQ 相手のこころに届く言葉(高山直)」を参考にしました。この本は、周囲を明るくする言葉が多数紹介されています。

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自信のなさを乗り越える実践的な問いかけ

Z世代の中で、自分に自信を持っているのは3人に1人と言われています。SNSが中心のコミュニケーションでは、常に自分より優れた人々が目に映り、これが自信の欠如に繋がっている可能性があります。

「自分に自信」は3人に1人 Z世代の「私なんて」感覚を生んだもの [東京都]:朝日新聞デジタル (asahi.com)



私の経験から言うと、「自信が持てない」という相談に対し、単に「大丈夫だよ」と励ますだけでは、効果は限定的です。善意での励ましに関わらず、相手の反応がつれないと、とてもがっかりするものです。

そこで有効なのが、具体的な状況を聴くことです。「いつ、どのような時に自信が持てないか」と問うことで、その状況を明確にし、気づきを促します。しかし、忙しい現場のリーダーにとっては、このような内面に向き合う深い面談を重ねることは難しいか、不可能かもしれません。

そんな時に役立つ質問がこちらです。

「あなたの自信のなさは、あなたの仕事にどう影響していますか?」
「あなたの自信のなさで、同僚の仕事はどういった影響を受けていますか?」

この質問への答えを得ることで、仕事の上で取り組むべき課題がはっきりとします。「自信のなさ」という抽象的な問題を、具体的かつ解決がしやすいタスクに変換することができます。仕事への影響を様々な手段で緩和することで、本人の助けにもなるでしょう。

会議の発言マトリクスで参加者と組織の思考を解析

会議中の発言をマトリクスに当てはめるだけで、参加者や所属組織が、どのような思考で動いているかを把握する方法があります。この方法は、言葉を並べて説明するよりは、実際のマトリクスを見ていただいた方が早いでしょう。

 


マトリクスの中の質問は、あくまでも代表例です。発言内容が「過去志向」なのか「未来志向」なのか。「成功」と「失敗・回避」のどちらに目を向けているのかに基づいて、分類をしていきます。

参加者の発言がどのように分布するかを注意深く観察してください。あなたが会議の主催者や組織のリーダーである場合は、どこに焦点を当てた運営をしていきたいか、どのような戦略を立てて場を補うべきか、考えるヒントにもなります。

しかし、未来志向であることが常に最善とは限りません。失敗や事故を繰り返している組織は、過去の失敗から学び、防止策を徹底的に検討する必要があります。過去の反省に基づいて未来を形作ることは、組織の持続可能な成長に不可欠です。 ただし、過去に囚われすぎると、組織の活力を損なうことにもなりかねません。

中間管理職のための指南書:部下からの要望を理解する

「あなたが部下から求められているシリアスな50のこと(濱田 秀彦)」という本を読んでいます。発刊は2012年で10年以上を経てもなお、近所の書店では平積みされています。年度末で人事異動も多く、こうした指南書が求められる時期だからかもしれません

著者は7000人の管理職、1万人の部下と接してこられた人材研修講師です。ですので、本書にある部下からの求めは、一定の信頼があると言えるでしょう。

人間力」「仕事力」「職場力」「育成力」の4つのカテゴリーについて、上司への要望を述べています。Amazonのレビューには、「耳が痛い」「簡単なことなのにできない」とのコメントが並んでいます。中間管理職である私自身も、切実な思いにかられました。

 



この記事では人間力について、幾つかの項目を取り上げます。

「ピンチのときに動じないで欲しい」

私の経験ですが、ピンチのときには、とことんその気分を短時間で味わって、「本当にこれは困った、厳しいけれど何とかしよう」と宣言する方が、その後の回復が早い気がします。ピンチなのにあえてその場で動じないから、後でオタオタするのです。まず、上司も部下も全力で、かつ短期間で、動じてしまうことが、実は有効かもしれません。

「器が大きい人でいてほしい」

「器が大きい」とは、部下の失敗や人間性を受け入れることを指すようです。失敗はすでに起こっており、部下は目の前にいます。短時間で受け入れ、その後の対処法を考えることが、お互いにとって最善です。

「気分の良し悪しを仕事に持ち込まないでほしい」

EQ(心の知能指数)においても、リーダーの感情が職場に影響を与えることはよく知られています。感情は他人に伝染しやすく、個人の問題に留まらないため、私もそれを知ってからは、感情をコントロールするよう努めています。

この本は、読めば読むほど耳が痛いです。また、「仕事力」「職場力」「育成力」についても、取り上げてみたいと思います。

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相手に敬意を表す、たった一つの質問

会話の最後に使うことで、相手に深い敬意を表すことができる言葉があります。

その言葉を思いついたのは、インターネットプロバイダのコールセンターに電話した時でした。自宅のインターネット接続ができず、さらに契約情報の書類を紛失してしまったため、問い合わせをした際のことです。

オペレーターの女性は非常に丁寧に対応してくださいました。彼女は親切に契約状況を説明してくれました。通常、このような問い合わせは企業にとって利益にならないものです。

用件を済ませて電話を切る際、オペレーターは安心できるようなトーンで「他にご用件はございませんか?」と尋ねてくれました。この言葉はおそらくマニュアルに基づいているものかもしれませんが、その声のかけ方には敬意と思いやりが感じられ、私は感動しました。

それ以来、私も仕事での会話を終える前に「他に何かありますか?お手伝いできることはありませんか?」と尋ねるようにしています。これにより、相手が何かを思い出して役立つこともありますし、何もない場合でも会話が温かい雰囲気で終わるようになりました。

この文章を読んでいるあなたも、試しに使ってみてください。ゆっくりと、穏やかに尋ねることで、相手に喜んでもらえると思います。

1on1面談で本音を引き出す:同僚への視点で面談を深める

1on1の面談では、信頼関係を築くことが非常に重要です。相手が自分の感情や状況をオープンにするためには、安全な環境を作ることがカギです。例えば、非言語的コミュニケーションに注意を払い、相手の表情や声のトーンから感情を読み取ることが効果的です。このようなテクニックを用いることで、面談者はより深いレベルでコミュニケーションを図ることが可能となり、双方にとって有意義な対話が展開されます。

そういった信頼関係構築の一環として、1on1の冒頭で、面談者の体調や業務負荷について尋ねることは一般的です。一方で、面談者の性格や関係性によっては、答えがそっけなかったり、本当はしんどいのに、本音を話しにくいこともあります。

そのような場合、私は、面談者本人に掘り下げて聞くのではなく、面談者と仕事をしている同僚についてどう見えるか、面談者に軽く聞いてみることがあります。そうすると、面談者が周囲をよく観察し、気遣っているかが見えてきます。余裕がなければ、他人の観察や気配りも難しくなるでしょう。

同僚についての話の後、面談者がリラックスして自分自身について話し始めることもあります。比較の基準ができたことで、安心して話せるようになるのかもしれません。

面談者との信頼関係が既に確立している場合、リーダーが自己開示を行うことで更なるオープンな対話を促すことが可能です。「私の気分や仕事ぶりについてどう思いますか?」といった、少し茶目っ気を交えた質問は、面談の雰囲気を和らげると同時に、面談者の本音を引き出す助けになります。

こうした質問に対して「とても、しんどそうに見えます」「とても大変そうに見えます」といった回答が返ってきた場合、これは面談者が現在抱えている業務の重圧を示唆しているかもしれません。この情報を元に、リーダーは不急のタスクを延期したり、面談者の業務量を再評価し、必要であれば調整する機会を持つべきです。

一方で、「とても気楽そうに見えます」という回答があった場合は、それが皮肉である可能性があり、面談者が過小評価されているか、不公平な扱いを受けていると感じていることを示しているかもしれません。このようなフィードバックを受けた際は、面談者の業務内容を詳細に確認し、彼らが適切な評価を受けているか、適切な支援を得られているかを保証することが重要です。

これらのアプローチを通じて、リーダーは面談者の現在の業務状況と感情をより深く理解し、それに応じた支援を提供することが可能になります。また、面談者からのフィードバックを真摯に受け止める姿勢は、信頼関係をさらに強化し、効果的なチーム管理に繋がります。

こういった会話をする際には、プライバシーへの配慮が必要ですし、同僚に対する悪口にならないよう注意が必要です。また、面談者と同僚を不必要に比較しないようにすることも大切です。

面談者が自分について話しにくそうな場合は、同僚の話題に一旦振ってみることで、会話がしやすくなることがあります。

 

忙しい人のための時間管理テクニック: ブライアン・トレーシーの法則とは?

私が職場でよく受ける相談の一つに、「何かよい時間管理術はないですか?」があります。時間は誰にとっても平等な資産で、1日24時間と限られています。それだけ、働く人にとってはマネジメントが切実に必要な資産なのでしょう。

私自身も、時間を増やしてあげるような、超能力者のような何かを持っているわけではありませんが、以下の項目から、その人に合ったものを選んで伝えています。

1.忙しさの定量

自分がどれほど忙しいかを日々定量的に把握します。例えば、未読メールの件数やTo Doリストの項目数を指標にすることができます。定量的に把握をしておくと、「本当に危機的に忙しくなる」ほど仕事を抱える前に、自分を追い込むことができ、パニックに陥ることを避けることができます。また、不要な業務をカットしたり、断ったりする動機にもなります。

2.仕事時間におけるスペースの確保

時間について相談をする人の大半が、始業から就業まで絶え間なく仕事を続けています。昼食もそこそこに、ぶっ通しで仕事をしています。やっている本人はそれがベストと信じていますが、効率化の工夫も出てきにくい状況になっています。何より、その働き方を今後も続けられるのかが心配になります。本人はそれがベストと信じ切っていますので、「ちょっとは休憩を入れた方が良いよ」というアドバイスは効果が見込めません。本人の状況に応じてカスタマイズされたアドバイスが必要になります。

3.仕事・タスクの分類とそれに応じた処理

有名なところでは重要性と緊急性のマトリクスがあります。例えば、メール処理一つとっても、重要性や緊急性が低いものは、極力、文章量を抑えるように意識します。こういった経験を重ねることで、「それなりの仕事は、それなりに」という習慣が身に付きますので、自然と時間に余裕が出てきます。

3つ目の項目が効果的なのですが、重要性や緊急性のマトリクスがどういった意味合いを持つのかも含めて説明と理解が必要なことと、分類の手間がネックです。

もっと簡単な方法を求めるなら、「ブライアン・トレーシーの3の法則」がおすすめです。これは、以下のシンプルな質問に答えるだけです。

  • 1日にできるのが1つのタスクだけなら、それは何ですか?
  • 1日にできるのが2つのタスクだけなら、それは何ですか?
  • 1日にできるのが3つのタスクだけなら、それは何ですか?

 

このシンプルな問いに答えるだけで、仕事上の貢献の大半は重要な3つのタスクで成り立っていることが理解できます。

時間管理の課題を解決するためには、スケジュールを整理する技術的な方法だけではなく、その心理的な側面にも目を向けることが重要です。特に、先延ばし癖やストレスは、効率的な時間の使い方を妨げる大きな障壁となり得ます。

先延ばし癖は多くの場合、完璧主義や失敗への恐怖から生じます。これに対処するためには、まずは小さなタスクから取り組むことで徐々に自信を築き、タスクに対する恐怖を減少させることが有効です。また、締め切り前に仕事を始める習慣をつけることで、プレッシャーを感じることなく、よりリラックスして取り組めるようになります。

一方、時間管理のストレスは、しばしば過剰な自己責任感からくるものです。これを緩和するには、現実的で達成可能な目標設定が重要です。また、休息時間を計画的に取り入れることで、心身のバランスを保ち、疲労を蓄積させないようにすることが効果的です。

時間管理の心理的側面に焦点を当てることで、私たちは自身の行動パターンや感情の動きをより深く理解し、それに基づいた効果的な対策を講じることができます。これにより、時間を賢く使い、生産性を高めるだけでなく、日々の生活における満足感も大いに向上するでしょう。

「ブライアン・トレーシーが教える 最強の時間」は、この法則以外にも、生産性を上げるための多くのヒントが含まれています。古書でしか手に入らない状況ではありますが、時間管理に悩む方には役立つでしょう。

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